<応急手当て>救急隊員到着前 居合わせた人の協力に保険

 事故や災害の現場を含め日常の中で傷病者を目撃した一般市民に、救急隊員の到着前にためらわず応急手当てをしてもらおうと、東京消防庁は今年度から、手当てした人が負傷したり罹患(りかん)したりした場合、医療費の一部を保険で賄う制度を全国で初めて導入する。統計上、一般市民の応急手当てで傷病者の生存率は高まるとされる。高齢化の進展で救急出動要請が増え、現場到着までの時間が長くなる傾向があり、全国に普及するか注目される。

 

 傷病者が出た際、たまたま近くにいた人は「バイスタンダー」と呼ばれる。


 総務省消防庁によると、2013年に心肺停止状態になった人が出た時に誰かが居合わせたケースは、全国で2万5469件。うち、バイスタンダーが心臓マッサージなどの心肺蘇生措置を実施していたのは1万3015件で、半数にとどまっている。


 一方、13年に東京消防庁管内で心肺停止状態となった人のそばに誰かが居合わせたケースは4665件。このうち約4割の1864件で一般市民が自動体外式除細動器(AED)などを利用し、救命措置を施した。バイスタンダーが応急処置をした場合の1カ月後の生存率を追跡調査したところ14.2%で、救急隊が到着し初めて処置をした場合の4.0%に比べ3倍以上も高かった。


 救急車の出動が年々増加するのに伴い、到着までの時間は延びている。特に都市部でその傾向は著しく、東京消防庁管内の場合、1999年に5分24秒だったのが、13年には7分54秒かかっている。バイスタンダーの有無が生死を分けるケースも想定されるという。


 その一方で、応急手当てはリスクも伴う。東京消防庁が独自に調べたところ、バイスタンダーの立場での応急手当てについては、負傷や病気感染への懸念や、症状を悪化させて責任を問われる心配があるなどの理由で敬遠する声が上がった。実際、バイスタンダーがけがをしたり、人工呼吸で感染症の疑いがあると判明したりしたケースは09年以降で7件あった。


 こうした点を踏まえ同庁は、けがをした場合の治療費の一部や感染症を調べる検査費を保険から支払うことを決め、保険加入費として約700万円の予算を確保した。同庁の担当者は「バイスタンダーの心肺蘇生で生存率は高まる。積極的に行ってほしい」と話す。【山崎征克、松本惇】

 

 

2015年4月2日 毎日新聞 抜粋

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