道路上での通報

 

 

日時:2005年11月25日 10:00am頃
場所:東京都内 港区南麻布 路上にて
救助者:TO氏 男性(客室乗務員)

 

 

出来事と救助者がとった行動:

 

その日 私は近所の病院にいくために3歳の娘と一緒に家を出ました。しばらく行くと歩道上にうずくまっている男性の姿が目に入りました。 ?、と思いながら近づくと若いスーツ姿の男性でした。最近の若い人は平気で地面に座って休む人もいるので、そのまま通り過ぎようとして 気づきました。しゃがんだ姿勢のまま失禁していたのです。これはまずいと思い、とっさに話しかけました。

  • 「お客様!」って、違う違う。(客室乗務員としてのいつもの癖でつい)
  • 「どうしました?大丈夫ですか?」 反応がありません。すると傍らからおばさんが、
  • 「私も声をかけたんですけど反応がないんです。どうしましょうか。」と言うので、
  • 「失禁していますね。すぐに救急車を呼びましょう。」と答え、

携帯電話で救急車要請をしました。連絡先として自分の携帯の番号を 教えておいたのですぐに救急車の中の救急隊の人から電話が入りました。

以下、会話の内容です。
Kは救急隊の隊員さん。Oは私です。

  • K 「通報してくだっさった方ですか?」
  • O 「はい、そうです。今患者の横にいます。」
  • K 「どのような状況でしょうか?」
  • O 「呼びかけに応答しません。バイタルを取りたいのですが娘を抱いているので片手でしか作業できずにいます。」
  • K 「失礼ですが、医療関係者の方ですか?」
  • O 「いえ」、違いますが、JALの客室乗務員で、MFAプロバイダーです。片手でわかる限りでは、体温は正常で、脈も触れています。」 電話口の向こうから声が聞こえてきます。
  • K 「通報者、客室乗務員。MFAプロバイダー!」 同乗者に伝えているようでした。
  • K 「わかりました。それではお任せしますので、われわれが到着するまで現状の維持と経過観察をお願います。」
  • O 「はい、わかりました。それではよろしくお願いします。」

何人かの人が近くに寄ってきたので、それぞれの人に指示をしてお願いをしました。

  • K 「すみませんが、救急車がすぐに場所がわかるように誘導をお願いできますか?あなたは、自転車がぶつからないように交通整理をしてください。すみませんがどなたかこの人がいつからこ  こにいたのか知っている方はいらっしゃいませんか?」
  • X 「30分くらい前からいたかしら?」
  • O 「30分前ですね?」・・・

 

救助者の感想:

 

MFAプロバイダー(国際救急法資格取得者)は、救急隊が到着するまでに、どのようなことをしなければならないか、ということを中心に訓練されます。 CPRとAEDだけがMFAプロバイダーのやることではありません。現状を安全に保つ、事前に情報を収集する、患者の経過観察に努める、 などです。しばらくして救急車が到着しました。その男性は、救急隊の呼びかけに応じる気配を見せました。経過と連絡先などを救急隊に引き継ぎ、MFAプロバイダーとしての私の役目は無事終わりました。国際救急法の訓練を受けていて本当によかったと実感しました。